もの忘れの問題でお困りの方々へ

認知症

認知症は、長生きの勲章です。

これまで大きな病気をせず健康に生きてきた、
その証しです。

でも認知症になるのは、うれしくありません。
本人にとっては、これまで出来ていたことができなくなり、
白いキャンバスに放り出されたような感じで、
くやしさや不安でいっぱいなはずです。

また家族も、熱心であればあるほど、
本人の変化に戸惑い、腹がたったり、
うまく立ち回れない自分を責めたりしがちです。

認知症は、脳神経に余分な物質がたまる病気です。
正常に働ける脳細胞が減るので、忘れっぽくなるのですが、
記憶に関係しない脳細胞も減ってきますので、
転びやすくなったり、むせやすくもなります。

途中で他の病気にならなければ、最後には寝たきりになり、
命に係わる状態になるまで、日本では平均で
5年ほどだと言われています。

私たちは100%、いつかはこの世とお別れします。
だけど最後まで、少しでも本人が本人らしく
生きていくことが、理想だと思います。

今の科学では、認知症を治す方法はありません。
認知症が進みにくくなるお薬は何種類かありますが、
もっと大事なのは、こもりきりにならないことや、
周りの協力があることだったりします。

認知症でもう一つ大切なのは、
周りが無理をし過ぎないことです。

まじめな方ほど、責任を感じて一生懸命やろうとして
疲れてしまったり、ついイライラをぶつけてしまったり
することが少なくありません。
支える人の一番大事な仕事は、「自分が倒れないこと」です。
特に1対1で支えていると、うまくいかなくなる局面が
絶対に出てきます。
このために払ってきた介護保険。デイサービスでも
ヘルパーでも配食サービスでも、利用できるものは
何でも使って、余裕を失わないようにして下さい。

それでももし、本人のイライラや不安がとれなかったり、
夜もなかなか眠れなかったりするようでしたら、
本人のためにも支援者のためにも、病院を受診してみて下さい。
そういう時に、睡眠リズムをつけたり、
高ぶった感情を少し鎮めるお薬を使うと
調子をとり戻せる場合もありますよ。